突然ですが皆さんは、「16時間断食」という言葉をお存じでしょうか。
一度は聞いたことがあるという方も、多いかと思います。最近では、様々なメディアにおいて、この健康法・ダイエット法が取り上げられる機会が増えてきました。
今回は「16時間断食」について、できるだけ詳しく、しかもわかりやすく解説していきたいと思います。
今回の記事を読んでみて、もっとこの健康法について詳しい内容が知りたくなったという方は、ご自分で調べていただくことを強くおすすめします。
今回の記事を読んでいただいて知っていただけるのは、例えば以下のような内容です。
- 「16時間断食」とは何か?
- 「16時間断食」をすることのメリットは何か?
- これとよく似た「リーンゲインズ」とは、どう異なるのか?
- 「16時間断食」の具体的な実践方法・テクニック
- 正しい知識が学べる、おすすめの書籍
最後には、お勧めの書籍を集会していますので、これを読んでもらって「16時間断食」に関する知識を深めてくだされば幸いです。
それではまず、「16時間断食」そのものについて、早速解説を始めていきましょう!
目次
16時間断食とは?
「16時間断食法」についてまずはご紹介するところから始めたいと思います。
「16時間断食」とは、その名の通り、1日の中で約16時間のあいだに断食を行うことによって、健康増進を図るという、最近話題の健康法です。
その具体的なルールに関しては、以下のとおりです。
- 1日24時間のうち、2/3に相当する16時間は、食べ物を何も口にしない
- 残り8時間のみに食事を配分し、1日に必要なエネルギーを摂取する
- 飲料水については、いつでも随時飲んで良い
- どうしてもお腹が空いたときは、〇〇を食べる!(後半で解説します)
やり方自体は至ってシンプルですが、初めて聞いた人にとっては、かなり過酷に感じるかもしれません。
というかこの説明だけだと、「こんな過酷な食事制限・ダイエットをするなんて、ただの苦行じゃないか…(笑)」っと思われそうなくらいです。
しかし、「16時間断食」には、近年の最新科学が示した研究結果に基づき、とてつもないメリットがあることが分かりつつあります。
というわけで今度は、「16時間断食」を行うことのメリットについて、手厚く説明していきます。
「16時間断食」で得られるメリット
「16時間断食」を継続することによって得られるメリットを、以下に挙げておきます。
- 細胞の働きを亢進、活性化
- エネルギー代謝効率の向上
- 免疫力アップ
- 脂肪(皮下脂肪・内臓脂肪)の燃焼効果
- 炭水化物(糖質)に対する中毒性の低下
- カロリー摂取そのものの減少
このように断食の時間を設けることによる効果は、実践しているヒトにとっても、計り知れないほど大きいと考えられています。 しかし、特に注目されている効果こそが、「オートファジー」です。 16時間断食を語る上では、このオートファジーという概念が非常に重要になってきます。正直、これ無しでは16時間断食の魅力について触れることはできないと言っても過言ではないくらいです。 16時間断食を行うことの最大のメリットとも言えるのが、この「オートファジー」です。この断食法は、体内のオートファジーを誘発、活性化させることを想定しているという側面も大いにあります。 「オートファジー」というのは身体の機能のことを指していますが、まずはその定義を確認しましょう。 まずは「オートファジー」について知ってもらうために、これは何であるかを自分なりに説明しておきます。 あらゆる生物を構成する細胞に備わっている性質で、自分自身の要らなくなったタンパク質を分解する機構のこと。不要になったタンパク質は、ペプチドやアミノ酸まで分解され、生体維持に必要なほかのタンパク質へと再利用される。
16断食のメリット:「オートファジー」の効果について
オートファジーとはなにか?
「専門用語が多くてイマイチ分からん…」という方も、難しく考える必要はありません。誤解が生じないギリギリの範囲内で、「オートファジー」を超簡単に言い換えるなら、こうなります。
オーファジーを一言で言うと、「体内の不要な物質を分解して、再利用する働き」
2016年、東京工業大学の大隅良典教授が「ノーベル医学・生理学賞」を受賞されましたが、その受賞理由が、「オートファジーの仕組みの解明」でした。
受賞が2016年ということで、科学の歴史上は、割と最近になって研究が盛んになってきた言葉だと考えて貰えればと思います。
オートファジーの効果
「オートファジー」の仕組みが、少しは理解できたところで、続いては効果についてです。
しかし残念ながら、これに関しては現代の科学・医学でも解明されていない部分が非常に多いため、「絶対にこんな効果がある!」と明確に言い切れるものは、現段階でもあまり多くはありません。
しかし、その研究結果はげんざいも世界中で報告され続けており、健康には間違いなく良い効果をもたらすことが分かってきました。
今回は、その中でも効果があると見込まれているものを取り上げてみました。
- 感染症:体内に侵入した病原体に対する抵抗力を向上させる
- がん :細胞DNAの損傷を防ぎ、細胞の癌化リスクを抑える
- アレルギー:腸内環境の整備も関係している
- 高血圧:空腹時間の確保により、内臓脂肪を正常化させやすくなる
- 糖尿病:糖質制限よりも空腹時間を確保する方が、寧ろ有効であるという見解もある
- 認知症:アルツハイマー型を始め、発症要因とされる活性酵素との関係が明らかになりつつある
近年では、加齢による老化などにも良い影響を与えることが示唆されています。これに関しては、最後に紹介する書籍においても大きく取り上げられている内容です。
16時間断食のメリット:糖質の枯渇による脂肪燃焼の効果
「オートファジー」が持つ潜在的能力が、何となく分かってもらえたかと思います。
ですが、16時間断食を実践することで得られる効果には、オートファジーだけでは説明しきれない効果が多くあります。それが、先ほど取り上げたように、生活習慣病のリスクを抑えるという観点でのメリットです。
というわけで続いては、オートファジーとは別の角度から、特に「脂肪燃焼」という観点から、16時間断食の魅力を紹介していくことにします。
具体的には、空腹状態そのものについて、そしてその状態における身体の反応について取り上げてみることにしましょう。
炭水化物(糖質・糖類)
動物は、糖分をエネルギー源として生命活動を維持しています。炭水化物・糖分・糖質と呼ばれるこれらの物質は、白米や小麦粉、砂糖などから摂取する栄養素です。
しかし、食事で糖を摂取してから、数時間、半日間と経過していくと、体内に蓄積している糖が段々と枯渇していきます。このとき、不足したエネルギーをなんとか体内で補給するために、脂肪組織などを燃焼する必要が生じてきます。
これが、断食の時間を確保することによる、脂肪燃焼の効果が期待できる大まかなメカニズムという訳です。
エネルギー源である糖質が枯渇し始めると、体内では以下のような反応が起こり、なんとかエネルギーを生み出そうとします。
- 筋肉組織、肝臓などに蓄積された糖・アミノ酸から、エネルギーを生み出す(糖新生)
- 脂肪組織、肝臓に蓄積された脂質を分解して、糖質に変わるエネルギー源として利用する(糖新生・β酸化)
難しく感じた方は、スルーしてもらって構いません。

ともかく、「16時間断食」の真髄の1つには、こういった糖質が枯渇した状態をあえて作り出し、身体を適度な飢餓状態に追い込むことにもあります。
これにより、限られた体内の糖分からエネルギーを生み出し、不足した分を脂肪組織の脂質から補うという経路をたどるようになり、結果として脂肪燃焼効果が見込めるようになるのです。
もちろん、これと同時に様々な物質の処分、再利用を加速させて、体内のオートファジー機能を活性化する過程も進行しています。
断食の継続で、大事なタンパク質が分解される心配はないの…?
先ほど紹介した「糖新生」においては、筋肉組織などを構成するタンパク質を分解して、アミノ酸を調達することもあります。
しかしこういった主張をすると、逆に以下のように思われる方がいるかもしれません。
「大事な筋肉だったり、それを構成するタンパク質が分解されてしまうなんて、ダイエットや筋肉量アップには逆効果では…?」
しかしこれに関しては、基本的に心配いりません。
タンパク質の分解によるエネルギー産生が活発になるのは、あくまでも飢餓状態が長引いたり、内蔵組織が損傷して機能しなくなった場合の緊急手段としてです。
「16時間断食」では、数日間も連続して断食を行う訳ではありません。それに、実際に筋肉の分解が進行していたとしても、1日に必要量のカロリーを摂取していれば、その影響は非常に小さなものにとどまります。
これは、そもそも16時間断食という方法そのものが、ダイエット法としてだけではなく、筋肉増量法としても利用されてるという点にも裏付けられています。
たとえば、さすがに丸1日の間、一切食事をとらないといったストイックな断食を行うことになれば、筋肉の分解による糖新生も活発になりますが、1日に必須の栄養素をしっかり8時間で摂取しきれば、とても魅力的な健康法にもなり得るという訳です。

16時間断食法の具体的プラン
続いてはいよいよ、「16時間断食」の具体的な方法について紹介していきます。
これまで、16時間断食を実践したことが無いという方、それどころか初めて目にしたという方であっても、明日から実践できるような簡単で手軽な内容となっています。
ステップ1:「16時間断食」を実践する目的・期間を決める
16時間断食の目的を明確化
まずは、16時間断食を行う目的を明確にするところから始めてみましょう。
これは、この方法を実践する目的によって、実施期間や、細かなやり方が変わってくるからでもあります。
- ダイエット法として、体重を今よりも落としたいのか?
- 筋力の増大法として、体重増加、筋肉アップを狙いたいのか?
- 普段の健康法として、体重は維持しつつ、健康的な食生活を目指したいのか?
1と2の目的の場合は、摂取カロリーを調整するための工夫が必要ですが、基本的にはどのくらいの期間を行うかをあらかじめ決めておくべきです。
3の目的の場合は無期限で実施することになりますから、それで十分です。もちろん、このまま16時間断食の習慣が定着していけば、人生規模で行うことになる方もいらっしゃるかもしれません。
何れにせよ、まずは目的を明確化して、試験的に実施する期間を設けてみましょう。
やり始めれば、意外と慣れる
いずれにしろ、まずは、1週間、1ヶ月といった短いスパンから始めてみて、継続できるかどうかを見極めてみるのが良いかと思います。
これまでの食生活から一変させて、新たな習慣化を目指していくことになりますから、最初の数日間、数週間は、人によっては地獄の日々に思えるかもしれませんね。(笑)
しかし、16時間断食においてしんどいとされているのは、一般的に最初の数週間だけです。その山さへ乗り越える事ができれば、あとは慣れますし、早い人は1週間もあれば新たな食習慣に順応できます。

「最初が最もしんどい!」という言葉を胸に、最初の壁を乗り越えようと意気込んで始めましたが、その甲斐があったと、今では自信を持って言えます。
ステップ2:食事をする回数・時間帯を決める
実践する目的と期間が決まってきたら、今度は食事を行う回数と時間を決定しましょう。
食事回数は少ないほうが良い!?
実は最近になって、ヒトの老化に関する研究結果における重大な事実が明るみになりつつあります。
初めて聞いた方には、やや衝撃的かもしれませんが、どうやら最新の研究結果によれば、
「1日の食事回数は、できるだけ減らしたほうが良い」
という主張が支持され始めたのです。
ただしこれは、現段階の研究によって分かりつつあるないように過ぎず、これからさらなる研究が蓄積し、この主張が覆される可能性ももちろんあります。
しかし、現時点では「1日3食」というような古来から伝わる日本の食習慣が、実は理想的ではないという見解が支持され始めているという訳です。
最後に紹介するような健康法、食生活改善に関する書籍においても、そう紹介されているものが増えてきました。
16時間断食中であれば、朝食をとらないようにするのが当たり前になりますが、まずはこれを信じてみましょう。私も最初は騙されたと思っていましたが、自分で調べれば調べるほど、食事回数を減らすことに対する意識が高まり始めていました。
時間帯
食事の回数が決定できた後は、それぞれの食事をする時間帯を決めていきます。
「16時間断食」、「リーンゲインズ」について、特集記事や書籍の情報を調べてもらうと、
「12時~20時の間を食事が出来る時間帯に設定し、12時に昼食、20時までに夕食をとる」
という方法がおすすめされているかと思います。
実際に、「16時間断食」を実践している方、成功者の多くがこれと同じか似たような時間管理で実践しておられます。
かくいう私の場合も、12時頃に昼食をとった後は、20時頃に夕食を食べるようにしています。
場合によっては、途中でちょっとおやつを挟むこともあります。しかし、継続すればするほど、途中で空腹感を感じる機会も減ってきたように感じます。
ステップ3:目的をもとに、1日の食事を決めよう
- 1日の総摂取カロリー
- 毎食で食べる量・栄養価
- 飲料水
- どうしてもお腹が空いたときに食べる非常食 など
ダイエット法の一環として行うのか、普段から健康法として実践するのか、目的によって食事の内容も変わってくるはずです。
真髄さえ意識すれば、自由度の高い健康法
16時間断食は、その根本的な第一目標さえを遵守できさえすれば、極論をいえばそれで良いと考えることもできます。
この健康法においてまず最も重要なことは、あくまでもこれ!
「食べる時間帯を、食べない時間帯(断食する時間帯)を明確化・固定化し、1日の中で空腹な時間帯を確保すること」
よって、具体的な食事の内容に関しては、さほど大きな制限がないようにも捉えられます。
もちろん、「時間帯さへ固定できれば、それ以外の食事内容に関してはどうでも良い」というのは誤解です。(これについて、この後少しだけ取り上げようと思います。)
しかし「16時間断食」そのものには、1日あたりのエネルギー摂取量、栄養摂取量などに関しては、さほど大きく明確な規程が定められているというわけでもないのです。
つまりは、自分が断食を実践する目的・期間に応じて、細かな食事内容に関しては自分で決めていくことができます。これが、この方法の魅力的な点でもあります。
好き勝手食べて良い!?
とはいえ、「16時間断食」がれっきとした健康法である以上、好き勝手食べて良いということではありません。
揚げ足をとるようで申し訳ありませんが、ここで正しい理解を促しておきたいと思います。
16時間断食を実践している方の意見の中には、こういったものも見受けられます。
- 「断食を実践しているんだから、せっかく食事が摂れる時間帯は、自分が好きなものを好きなだけ食べたい!」
- 「1日の摂取カロリーや栄養価については、特に何も気にしていないかも‥」
しかし、長期的に16時間断食を実践している人、既に結果を出している成功者の方であれば、ある程度食事のコントロールをしているという方がほとんどです。
誤解していただきたくないのは、「16時間断食は、自分の好きな食事を、好きなときに(8時間のどこか)、好きな量で食べて良いというわけではない!」ということです。
寧ろ、しっかりと食事そのものにも気を配ることにより、断食する時間帯によって得られる効果を増幅することができると考えられています。
食事量や摂取カロリー、栄養価を気にせずに食事を行うと、栄養バランスの崩れや、ダイエットどころか、逆に太ってしまうなどの弊害が起こってしまいます。
「リーンゲインズ」
実は、「16時間断食」とよく似た概念に、「リーンゲインズ」というものがあります。
一応、16時間断食とリーンゲインズの違いについて、ここでは簡単に紹介していきたいと思います。
具体的な違い
これらについて紹介している書籍・記事によって、若干其のニュアンスが異なるかもしれませんが、わかりやすく言うと、以下のように考えてもらうのがわかりやすいと思います。
「リーンゲインズ」 =「16時間断食」と習慣的な筋トレを組み合わせたダイエット法
英語では、「インターミッテント・ファースティング」と呼ばれるダイエット法の1形態に当たります。日本語での直訳は、「断続的断食」と言うのが良いかと思います。
筋トレの内容としては、週3回程度が目安とされていますが、具体的な実施時間であったり、その強度は個人によってもバラバラです。
北欧での発祥・欧米での人気
リーンゲインズはもともと、ダイエット法の1つとして欧米で考案されました。
様々なメリットがあることから、そのまま英語圏で人気が急増し、これが様々なメディア・書籍などを通して日本に入って来て、今日まで広まってきました。
リーンゲインズの考案者は、スウェーデンの方です。さすがは、健康福祉大国が多いことで知られる北欧地域で考えられた画期的なダイエット法です。またたく間に人気に火が付きました。
欧米で人気が増えたことの理由としては、例えば以下のようなものが関係しているとされています。
- 個人の体質、体型、目標、目的などによって、方法が最適化されていること
- 科学的根拠が、尚も集約しつつあること
- 手間が少ない割に、大きな結果を見込めること(コスパが良い!)
これは少し余談ですが、「リーンゲインズ」は「16時間断食法」といった言い方をするより、筋力増量法・ダイエット法などとして捉えられる側面が、比較的強い印象があります。

おすすめの本
最後に、おすすめの本を紹介します。
今回紹介した内容を詳しく解説していることはもちろんですが、より科学的根拠(医学研究)をもとに説得力のある紹介をしているものばかりです。
「16時間断食」が秘めているポテンシャルの高さを思い知るかと思います。
LIFESPAN(ライフスパン)―老いなき世界
「空腹」こそ最強のクスリ
やって良かった!1日1食
ここまで来て述べるのはなんだか気が引けますが、実は、「16時間断食」という言葉を直接使って紹介しているという書籍は、意外と少なかったりします。
今回紹介している本の中にも、「断食をして空腹時間を確保するということ」が一般的に良いということは紹介されてはいます。しかしながら、必ずしも「16時間+8時間」という区切る方をしているとは限りません。
しかし、「1日に食事をする機会を減らす」という教訓は、どの本にも共通していることです。
こうした本の著者の方というのは、それぞれ現役の医師、医学研究者の方も多く、情報の信頼性は日に日に増しています。
気になった本については、是非チェックしてみて下さい。
最後までお読みいただいて、どうもありがとうございました。